ものをつくる人−心の感度=? 
私の中に長年潜んでいた不都合な問いに、
優しく光が当てられた感覚です。
そして、優しいのは光の当たり方だけで、
現れる影の形は容赦なく歪でした。
そういうところがとても好きでした。
朝井リョウ
作家
冒頭のシーンから引き込まれました。
窓辺に差す光と影のうつろいのように繊細で美しい物語。
幸せのかたちはひとつではないと改めて気づかされました。
桜沢エリカ
漫画家
窓辺から射し込む光のように、
令和の隙間から折に触れ昭和が顔を出す。
乾いた感情の端々から湿り気がにじみ出る。
陰気で無機質なようでありながら、
どこか底抜けに「笑うしかない」感じがある。
それにしても稲垣吾郎はいい中年になった。
乃南アサ
作家
今泉力哉監督の最新作!
今泉組初の稲垣吾郎が凄い役者だと再認識した。
決定的なシーンほどカメラフィックス、
音楽無しの役者の演技に全振りした演出はやはり見入ってしまう。
面白かった!
奥浩哉
漫画家
とにかく自分のことはさて置き、笑う笑う。
映画が終わったあとは、さて置いた自分としみじみ飲みたくなった。
燃え殻
作家
無理矢理でもなんでもなく
考える、ということの入り口に
そっと誘われた。
正直さについて、贅沢について、
叶わないこと、手に入らないものについて。
キリがないことはわかっているその時間は
むしろ贅沢にも感じた。
フルーツパフェが食べたくなったし
ラフランスを読んでみたいし
面白のたっちゃんにも会ってみたい。
伊藤沙莉
俳優
器用に生きてる人なんて誰もいないのではないか。
人間らしさが愛おしく、まるで繊細な感情の交差点のよう。
そんなバランスをとる事を知らない人達の答えの無い物語を
吾郎さんを筆頭に静かに美しく描いています。
清川あさみ
アーティスト
優しい男を演ずる稲垣吾郎の安定感がもはや神技!
『ばるぼら』とは真逆の魅力を放っている。
そしてこの男のただ者ではない秘密に驚き、切なくなった。
優しいってなんだろう、愛ってなんだろう。
当たり前と思っている気持ちをもう一度考えてみたくなる。
手塚 眞
ヴィジュアリスト
まだ歳を取ったというほどではないけど、
少しずつ何かを手放すということの意味の一端を
分かり始めた自分のような年代の人間にとっても、
非常に示唆にとんだ作品でした。
創作と恋愛は永遠に私たちを悩ませる。
オカモトコウキ(OKAMOTO’S)
ミュージシャン
甘ったるいパフェを口いっぱいに頬張る。
罪悪感の代償に満ちる幸福感は何にも代え難い。
足りすぎても尚どこか物足りない我儘な私たちには、
今日も皆、自分のため、誰かのために
心をさわさわとさせながら生きるのだ。
増田有華
俳優/タレント
観終わった後、映画を観終わったあとの気持ちじゃなくて、
友達と小一時間喋った後みたいな気持ちになって、
それが意味不明で良かった 
この映画が友達だとしたら
私はこいつのことがけっこう好きだなと思う
Rachel (chelmico)
ミュージシャン
不思議な気分である。
映画を観たあとに、こんな小説を書ける気がした。
自分のすぐ近くにある気持ちの裏表。
身近な他人に勇気をもって語りたい。
すきです!
近藤良平
コンドルズ主宰/彩の国さいたま芸術劇場芸術監督
市川のような人って沢山居て、
ほとんどの人がそれを明かさずに生きてるんだろうなぁ…
と想像しました。
彼の感覚がわかる気がしました。
同じ経験をしたわけではないのに、
何故わかる気がするのかはわからなかったけれど、
人間って面倒臭い事に沢山縛られているなぁ…と。
『自分より不幸な人がいると安心する』
という久保の台詞じゃないけですけど、
登場人物の様子を高みの見物で観ている自分は、
良いお客だなと思うと同時に、
ホント普通の人だなと可笑しくなりました。
細谷佳正
声優
浮気だなんだ、不倫だなんだ
なにしてようが、こんな会話ができるなら
夫婦としてもう正解なんじゃないでしょうか。
と思ったけど、やっぱり違うかも。
なんなのこの人たち。あぁ、こわい。
好きだの嫌いだの、嫉妬だの愛憎だのしてるほうが、
よっぽど健全で楽しいのかもしれない。
感情の昂りこそ崇高なものなのか。
女の手から繰り出されるカードの動き、
映画史に残る名シーンを目撃できて嬉しい。
あと無限レモンは地獄。
青柳文子
モデル・女優
達観した主人公を通して周囲の人々を見ると、
人の愚かしさが人生の愛おしさを作っていると気づかされる。
他人同士が心を通わせる場所が、
いつも素敵な喫茶店であるのが嬉しい。
喫茶店が特別な場所に感じられました。
冬野 梅子
漫画家
観終えた後に知ってるんだけど忘れていた感情が自分の中に出てきて、
どこで出てきたのかハッキリさせたくなって、
すぐもう一度観たくなった。
なんとも落ち着かないけど
気持ち悪くもない懐かしいような寂しいような感情。
稲垣さん演じる男のある種の朴訥さが全てを救っていて、
青春映画のようで清々しい気持ちになった。
やついいちろう(エレキコミック)
お笑い芸人・DJ・俳優
色んな「二人」を通じて、ちぐはぐに思える感情が浮き彫りになる。
「裏切っても裏切られても理解されたいし、理解したい。」
恋とか愛とかに纏わる言葉が見事に心をつつく。
丁寧に着地していく対話に十分な余白が滲み出て、
ゆったりとパフェを味わうほどに、心模様を堪能した。
森田想
俳優
それぞれの愛の形と愛情表現。
今泉さんが書く言葉を登場人物の皆さんが発するとき、
自分の中の価値観や物の見方にとらわれてはいけないなと、
何度もハッとする瞬間があります。
恋愛と人の心の複雑さを自問自答しながら探求し続ける今泉さんは、
もはや研究者のようです。
深川麻衣
女優
稲垣吾郎さん演じる茂巳さんが発するセリフにはすべて噓がなく、
すべてバカ正直に語っているのだという前提で観てほしい映画です。
能町みね子
文筆業
“人生ってある種、パフェかも”
この映画を観ない限り絶対に思うことはなかったであろう感想が、
一番最初に浮かびました。
主人公市川さんの悩みは共感する部分も多い分、
等身大の自分ってなんだろうという悩みは
一生向き合っていくことなんだろうな…と改めて考えさせられ、
創作する側の不安定で繊細な部分は心に刺さるものがありました。
多喜れい
漫画家
稲垣吾郎さんが最高すぎる140分。
会話が、ショットが、空気がとても贅沢で、
このままずっと見続けていたいと思った。
今泉監督の出演者の魅力の引き出し方
いよいよ魔法のようなレベルになってきた気がします。
佐久間宣行
テレビプロデューサー
内省的で、生活感が抜け落ちていて、
正しくない人ばっかりなのになんだか豊かで。
かつて憧れた「文学」って、こうだったな。
緩やかな時間、思慮と品性、面と向かう対話。
窓越しに観たのは、心のどこかで居たかった世界
SYO
物書き
結局は自分にしか分からないことを、
誰かに伝えるために言葉にするのは難しいことだけど、
誰かに分かってもらうことを期待したり期待することを手放しながら、
その淋しさを自分だけのものにしながら、
言葉にできるその時まで、
ぼんやりと考えている瞬間が
日々に連なっていることを思い出させてくれた。
惣田紗希
グラフィックデザイナー
「手をつけてはいけない」という約束を悠々と守る者がいる。
温かな手をこまねきながら冷めた目で見つめる溶けゆく世界、
ささやかな憂鬱。
それに対するささやかな注文の仕方を、
この映画は探し求めている。
乗代雄介
作家
常に画面を覆う繊細な焦燥感が留亜といる時だけ少し晴れるようで、
そのほのかなコントラストが心地よい。
茂巳は誰かにそれも愛だよって言ってほしかったのかな。
その気持ちが少し分かる気がして
私はヒヤリとしました。
ねむようこ
漫画家
この映画のなかではどんな感情も否定されることがない。
だから、みたあとに、ほんの少し心が軽くなる。
窪美澄
小説家
わたしにとって詩を書くことは、
自分に起こった事を過去にする作業なのだと、思い出しました。
"言葉にしない優しさ"に自分が守られていること、
忘れたくない。
牛丸ありさ
yonige
自分自身の個人的で大事な感情を創作に落とし込むことは何かを失うことであり、
自身の人生を前に進める手段でもあると思います。
この映画に出てくる人たちは血を流しながら自分の課題と向き合い、
何かを手放したり維持したり、
そういうもがきがとても美しく見えました。
もっとマグマのような感情があるはずなのに
淡々としたロングショットが印象的で、
こうやって人の感情は外からはわからず、
それを垣間見せてくれるのが創作物であり、
そういう感情の元作られた作品はきっと面白いのでしょう。
米代恭
漫画家
大きいとか小さいとか、派手だとか地味だとか、
そんなことは関係なくて、ただそこに在り、
ゆっくりでも少しずつ生きていることが美しいと思った。
僕はきっと、茂巳さんでも有坂くんでもない、
この映画に出てくる誰でもないけど、
彼らの人生は確実に僕のすぐそばを流れている気がしたし、
そういう身近なものが「映画」として扱われていることが嬉しかった。
平凡かもしれない自分の人生を
そっと抱きしめてみようと思えて幸せだった。
林田洋平(ザ・マミィ)
お笑い芸人
人はいつも迷っている。
その迷いを人に聞いて欲しい。
しかし、「で、どうしたいの?」と聞かれると言葉に詰まる。
この映画に出てくる人物たち「で、どうしたいの?」で溢れている。
この世に生きる人間は殆どそうだろうし、僕もそうだ。
だから人生は悲劇であり、喜劇なんだ。
オークラ
放送作家
勇気をだして正直に言うと、
僕も妻が浮気しても怒らないと思うんです。
でもそれは好きじゃないからじゃなくて、
その、なんていうんだろう…。
そんな言葉にできない曖昧や矛盾を肯定してくれたような気がして、
救われました。
上田慎一郎
映画監督